梅雨県・高知で長持ちする木造住宅を建てるための総合対策ガイド
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高知県梅雨期の気候特性と建築リスク
年間降水量: 山間部で3,000~4,000mm(日本有数の多雨地帯)
梅雨期降水量: 6月359.5mm、7月357.3mm
平均相対湿度: 78~79%に達する
木造住宅への影響:
- 建物内部の含水率上昇
- 床下・壁内・小屋裏で結露・カビ発生
- シロアリ被害・木材腐朽リスク増大
- 構造躯体の耐久性・耐震性低下
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湿気に強い基本構造設計
3つの通気経路確保ポイント:
① 床下換気
基礎パッキン材や換気口で床下を外気と連通、気流止めで通気ルートを確保
基礎断熱工法では床下地盤に防湿シート敷設
② 外壁通気層
室内側に防湿・気密層、外気側にJIS A6111適合透湿防水シートを連続施工
通気層の上下端を外気に開放し、湿気逃がし経路を明確化
③ 屋根換気
棟換気口や軒裏換気口で小屋裏通気を確保、天井裏結露を防止
屋根断熱層と外壁断熱層を隙間なく連続
通気設計のポイント:雨水浸入経路と湿気逃がし経路を明確に分離し、構造全体で湿気を外部に排出できる仕組みを構築
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有効な断熱・防水・調湿建材の活用
断熱材
- セルロースファイバー(透湿性・調湿性)
- 木質繊維系断熱材
- 熱橋を排除し温度分布を均一に保つ
透湿防水シート
- JIS A6111適合品を使用
- 雨水遮断+壁体内湿気放出
- 屋根には耐久性・耐紫外線性防水ルーフィング
基礎・床防湿
- 高耐久ポリエチレン製防湿シート
- 基礎パッキンで通気確保
- 地面からの水蒸気侵入を完全遮断
調湿建材:珪藻土・漆喰・天然木・紙クロスなど
梅雨時の急激な湿度上昇を緩和し、室内環境を安定化
梅雨時の急激な湿度上昇を緩和し、室内環境を安定化
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換気・通気の設計上の工夫
自然換気経路
居室に対角線上の開口を設置、風通しの良い通風路を計画
- 掃き出し窓+高窓・引き違い窓の適宜配置
- 窓庇や庇換気部材で雨の吹き込み防止
機械換気
高気密・高断熱化では第一種給排気換気システムを導入
全熱交換型換気装置で外気湿気の室内侵入を防止
給排気口・フィルターの清掃・メンテナンス容易な設計
局所換気
水回り(キッチン・浴室・トイレ)に強制排気ファン設置
- レンジフード換気・浴室換気扇で十分な換気量確保
- 常時換気扇(第三種換気)との併用
換気設計の核心:自然換気と機械換気を組み合わせて常に空気が循環する仕組みを構築し、梅雨時でも室内で湿気が停滞しないようにする
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定期点検・維持管理
室内点検
天井・壁・窓枠周りの雨シミ・結露跡・カビ発生を定期確認
床鳴り・ドア窓の開閉不良もチェック
外部点検
屋根・雨樋・基礎・外壁の破損・劣化・詰まりを点検清掃
床下換気口・外壁通気口の閉塞確認
換気設備清掃
フィルター・送風ファン・ダクトの定期掃除
目詰まりは換気量低下と雑菌繁殖の原因
防蟻・防腐対策
湿潤地域ゆえの白蟻リスク対応
耐久性樹種選択+防腐防蟻剤処理の実施
点検時期:梅雨入り前後・秋の長雨期前後
湿気由来の不具合を早期発見・対処することで建物の耐久性を維持
湿気由来の不具合を早期発見・対処することで建物の耐久性を維持